JAPANESE DARK SPIRITS / PRODUCT IDENTITY

酒蔵や飲食業界そしてそのユーザーと声を交わし、また時には焼酎から離れて、気付かされたのはその課題点の多くがその一方の課題点と全くベクトルの違う原因を孕んでいたことでした。「酒」というこれほどまで嗜好性が高く、「サケ」という類を見ない一般性の高い要素を持ち合わせる蒸溜酒であることの認識が甘かったが故に最初の半年は、プロダクトラインナップやブランドアイデンティティに違和感を抱くことがありました。

ただウイスキーやブランデー・テキーラ、そして酒精強化ワインなど幅広いお酒に触れ知見を重ね合わせていくことで、その違和感も正しい違和感であったことが分かったように思います。複雑で多面的な顔を持つ焼酎は、その様々な切り口からよりより多様性に溢れたプロダクトが生まれる必要がありますし、そこには深い嗜好性を併せ持つべきように思え、その時このJDSが目指す未来も視えたように思います。

レイヤーに富んだ複雑性と時の重なりが生み出す重厚感。焼酎は「麹」による日本独自の醗酵文化が育んだ蒸溜酒ですが、わたし達はそこで歩みを止めることなく、蒸溜や熟成といった洋酒にルーツを辿り、アイデンティティの確立を思考しています。